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 【ロンドン】欧州銀行監督機構(EBA)は15日、欧州連合(EU)域内各行に対するストレステスト(健全性審査)の結果を発表、審査対象90行のうち8行が不合格となった。欧州の金融不安を解消しようとする当局の狙いとは裏腹に、不合格となった銀行の数が意外に少なかったことで懐疑的な見方が広がっている。

 EBAによると、不合格となった8行の最悪の経済シナリオを想定した資本不足額は合計25億ユーロ(約2800億円)。

 このテストはEU域内の主要銀行が、経済が悪化し金融システムに不安が生じても耐えられるかどうかを調査するもので、EBAによると、不合格となった8行のほかに16行がかろうじて不合格を免れた。

 アナリストや投資家の事前予想では、不合格となる銀行は20行に上り、数百億ユーロ規模の増資が必要になるとみていた。

 不合格となった銀行の数が少なかったことは、この1年、各行がテストに備えて新規増資を行ってきたことを反映している。また、想定条件が比較的緩やかだったことも、不合格の数が少なかった一因とみられている。

 昨年度のストレステストでは7行が不合格となり、合計資本不足は35億ユーロとされたが、基準が甘過ぎ、一貫性に欠けるとして市場では広く疑問視されていた。

 欧州当局は今年3月から、欧州の金融不安を解消するため、新しいテストを行ってきた。銀行が開示していない巨額の高リスクローンや証券を抱えており、投資家やアナリストや規制当局、一部の銀行が抱いていた金融システムと経済全体が総崩れになるのではないかとの懸念を鎮めることが狙いだ。

 不合格となった8行はいずれも比較的小規模な銀行で、オーストリアのフォルクスバンケン、ギリシャのユーロバンクEFGとATEバンク、スペインのカハ・デ・アオロス・デル・メディテラネオ、カタルーニャカイシャ、バンコ・パストール、UNNIM、グルポ・カハ。ドイツの公立銀行であるヘッセン・テューリンゲン州立銀行(ヘラバ)は不合格になるとみられていたが、今週になってEBAに結果の公表を禁じた。

 2011年のテストでは、当局が最悪シナリオとみなす、失業率の上昇や住宅価格の低下、その他の経済悪化状況が2年続いた場合を想定して21カ国の銀行の財務能力が調査された。そうした場合の資本バッファーがリスク調整後の資産の5%に達しない銀行は、年末までに新株売り出しによる資本調達または事業ラインや資産の売却による総資産の圧縮が義務付けられる。それができない場合は、国の政府に援助を求めることになる。

 不動産市場が崩壊して経済や銀行システムが打撃を受けているスペインで最も多くの銀行が不合格となり、中核自己資本比率が5%の基準を満たさなかった5行に加え、5%と6%の間でかろうじて不合格を免れた銀行が7行に上った。昨年のテストの結果もこれに近く、昨年不合格となった7行のうち5行が「カハ」と呼ばれる貯蓄銀行ネットワークの加盟行だった。スペインの2大行であるバンコ・サンタンデールとバンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリアは中核自己資本比率が8%を大きく上回り、容易に合格した。

 8行を合計した資本不足額のほぼ半分はスペインのカハ・デ・アオロス・デル・メディテラネオに集中しており、同行は中核自己資本比率を5%とするため、9億4700万ユーロを増資する必要がある。

 スペイン以外に、かろうじて合格した銀行が本拠を置く国は、キプロス(1行)、ドイツ(2行)、ギリシャ(2行)、イタリア(1行)、ポルトガル(2行)、スロバニア(1行)。

 昨年秋、銀行システムが破綻して国際機関による救済を受けたアイルランドでは、3行とも容易に基準を満たした。

 注目の高かったドイツ銀行とコメルツ銀行はそれぞれ、ストレステストの最悪シナリオにおける自己資本比率が6.5%と6.4%になり、危険ゾーンではないものの、両行とも結果はテスト参加行全体の中位以下の成績となる。ドイツ銀行は15日の声明で、今後の資本強化に向けて「将来的に改善措置」を取るとした。コメルツ銀行は、同行の健全性が証明されたと述べた。

 EBAは、テスト対象となった銀行が2011年の1~4月に調達した資本は合計約600億ユーロに上り、2010年12月31日時点の財務状況に基づいてテストを行ったならば、20行が不合格、268億ユーロの資本不足となっていた、と述べた。また、テストの想定条件は比較的緩やかだった。例えば、スペインでは最悪シナリオとして今年の失業率を21.3%、来年は22.4%と想定したが、今年第1四半期末のスペインの失業率は21.3%となっている。

 さらに、今回のテストでは、銀行の預かり金やその他調達資金の奥行きや安定性、あるいは、ギリシャやポルトガルなどの国が債務不履行となった場合にどう対処するかが考慮されていない。この2つの点は、多くの銀行にとって「アキレス腱」となっている。

 ジェフリーズ・インターナショナル(ロンドン)のエコノミスト、マーチェル・アレクサンドロビッチ氏は、「ストレステストは銀行をショックに備えさせるものだが、極めて最悪の状況を想定しているわけではない」としている。

 EBA当局者らは非公式に、テストの想定条件は、「悪夢的な経済シナリオ」とはとてもいえないと認めていた。

 当局者らは、このテストの真の価値は不透明な銀行システムの透明性を高めることだとしていた。テストでは、各行は、ギリシャ国債の保有額からデンマークのデリバティブ、マルタの住宅ローンまで詳細にわたる約3200項目のデータを開示しなくてはならない。昨年のテストでは149項目が開示されたのみだった。

 当局者らは、開示情報を増やすことで一部の銀行が抱える含み損失に対する懸念を緩和したいと考えている。

 エスピリト・サント投資銀行のアナリスト、アンドリュー・リム氏は、「今回のテストは何よりも透明性を高めることが狙い。ソブリン債懸念が解消するわけではないが、資本不足の銀行はどれかが明らかになる」と述べた。

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